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「雑貨の学校」とは雑貨店開業、雑貨業界への就職や転職を志す皆さんやスキルアップを望むプロの方が雑貨ショップ開業をテーマに雑貨ならではの知識、技術を学ぶものです。今年で17年目を迎えました。

雑貨の学校講座の内容

雑貨屋さん開業と経営–初心者だけど7時間で12万円を売り上げました-2011年秋 NO.07

2016/07/13

雑貨屋さん1日経営「まったくの初心者だけど7時間で 12万円の売上」

雑貨の学校の雑貨屋さん実体験

雑貨屋さん経営はおろか、仕入(交渉)、販売や店舗実務の経験のない人が中心のグループが、この7月に1日限定で店舗を開店営業した(原稿執筆は2010年8月)。筆者が指導している雑貨の学校®の「雑貨店開業志望」「雑貨の仕事志望」の人々だ。

いわゆる素人歓迎の「フリーマーケット」イベントなどへの参加ではなく、れっきとした店舗物件を借りての“本気”の営業。もちろん利益獲得が目標だ。

場所は有名商業地、下北沢(東京世田谷区)。人気店がしのぎを削る激戦区である。

はじめてづくしの営業は、想定外のアクシデントや失敗もあるだろうが、当人達にとってたくさんの勉強の機会になる。さらに店舗で、お客様から商品代金を頂戴するからには「素人だから」「はじめてだから」といった甘えは許されない。プレッシャーも大きいが、だからこそ得られるものも、より多いはず。

今号では、その「1日限定雑貨店」の準備から決算(総括)までの顛末を少しご紹介したい。

小規模な期間限定店といえども、その企画や準備、当日の運営のありさまは常設の店舗のそれを凝縮しているもの。

業界人の読者の皆さま、特に店舗関係者にとっては「そんなことは簡単!」「あたりまえ!」と思われることもなかにはあるだろうが、「負うた子に教えられて…」のことわざのように、素人同然の人々が手探りで行う店舗の企画、運営のエピソードから、何かしらのヒントを見つけていただけるのではないだろうか。

雑貨屋さんポスター

講座のゼミ活動として

参加者は筆者主宰のセミナー「雑貨の学校®」の長期講座(5ヶ月間)を受講中の有志。この「イベント雑貨店」は、講座の一環であり、他のカリキュラムと同時進行で行うゼミ活動だ。

雑貨店の企画や運営、商品調達、販促などの各知識やテクニックをメインの授業で徐々に身につけながら、「イベント雑貨店」の企画準備を自主的に行う。

参加者は20代〜50代の8名の女性。様々な職業(OL、販売員、デザイナー他)の人々だ。全員が将来的に雑貨店開業や雑貨関連の仕事に就くことを希望しているが、「雑貨商品」「仕入・販売」「接客」などの業務経験のない人が大半である。

講座で既に勉強をしている人達であるから、厳密にはずぶの素人ではないが、実経験がないという点では、全くの初心者と言えるだろう。

また、今回の活動は、自身の将来 (開業、転就職)を占うという意味(自分でやれるか。儲けられるかなど)もあり、真剣にならざるを得ないはずである。

雑貨販売イベント店内

下北沢駅徒歩3分のスペース

ご承知のように下北沢は人気の有名商業地。特に20代の若者にとってはファッションやアート、音楽の流行発信地である。

今回のスペースは下北沢駅徒歩3分の商業地のど真ん中。週末にはたくさんの買物客や観光客が闊歩する目抜き通りからちょっと入った通りの路面ビルの1階だ。

近隣にはファッション店、古着店、アクセサリーショップなどが建ち並ぶ。下北沢に少し詳しい人なら、だれもが知っている有名な通りだ。店舗形状はシンプルな長方形で面積は3坪(9.9m2)。前面が総ガラスばりの開放的な仕様だ。

レンタル期間は土曜1日のみで搬入と撤去時間を含め9時から20時まで(営業時間は12時から19時)。レンタル自体の交渉と契約は講座スタッフが行い、その内容や使用時の取り決めを参加者に伝えた。

ある程度のサポートや万が一のフォローは講師(筆者)や講座のスタッフが行うが、それ以外の業務は全て参加者達自身が行っていく自主企画、運営が前提の活動だ。

やりたいこととやれることの違い

まず作業として最初は近隣の調査を行った。それぞれに通りの通行人の人数や内訳(年齢、男女比)、近隣の店舗の取り扱い商品や様子をリサーチした。

残念ながら、ばらばらな視点で調査してしまったため、その結果を体系立てて整理、分析することまではできなかったようだが、来街者のイメージや近隣の店舗で扱われている商品に関しての様子は、全員がある程度理解できた。

次に店舗自体のテーマ(コンセプト)設定や商品傾向の決定、準備のスケジュールづくり。その打ち合わせのたび、「○○○スタイルの雑貨を扱いたい」「とにかく自作の作品を売りたい」「買い取った在庫が余ると困る」「包装紙や袋はどこで買うの?」「搬入は車で…」など、枝葉の業務や準備に関する(!)発言が出てしまい、収集がつかない場面もあったが、なんとかある程度の取り決めができた。 雑貨ディスプレイ

「雑貨が好き」→「雑貨関連の仕事をしたい」→「雑貨店をやりたい」という希望を持つ人は、雑貨商品に対する深い思い入れがある。好きなものをぜひ売りたいという、素朴で強い感情が唯一無二のモチベーション。扱う商品の傾向をまとめるにあたって、多少もめるのも無理はない。

結果、それぞれの扱いたい商品がまったく違うため、商品傾向を全体で統一することはできなかった。苦肉の策として多種多様な商品が混在しても不自然ではない「雑貨マルシェ(市場)」というテーマ設定になった。

たった一日の営業のため、新たな什器を購入することやオリジナルの包材を作ることは現実的でない。既存の棚を流用することや、家庭用のプリンターでシールなどを作成することとし、コスト削減にも配慮した。告知の為のホームページやチラシの制作には参加している現職のデザイナーが、腕をふるうことになった。

また、販売促進面ではアイキャッチとして店頭の空きスペースでスタンプを使った「ワークショップ(手作り体験)」を行い、集客のポイントにすることもアイディアとして提案された。

商品調達と店内レイアウト

商品は各参加者が自身の責任で調達することに。

協力してくれるメーカーや問屋を探す人。手作り雑貨の作家のアトリエを訪ねて交渉する人。以前から趣味で創っていた自慢の手芸品をこのイベント用に制作する人など、思い思いの方法だ。

もちろん、調査した来街者や近隣の店舗の価格帯も意識しながらの商品探しだが、自分が“買ってみたいような商品”ということが一番の選択基準。

“ハラハラドキドキ”のはじめての取引交渉は、商品に対する熱意と「下北沢」という店舗ロケーションの有利さもあってか、多くの企業、作家が協力を快諾してくれたそうである。

自作の商品を販売したいという場合は、価格や品質、デザイン面での完成度を客観的に点検し、商品としてのレベルに達しているものを厳選した。

途中、商品を数点しか用意できない人、3坪どころか10坪の売場相当の大量な商品を用意しようとする人など、全体に商品ボリュームに関しての適切な調整ができてないということがわかり、急遽、商品配置図や棚割表を作成して店頭の商品の量を検証しなおすということもあった。

接客方針や当日の段取り、担当人員のシフトも考えた。「笑顔で」「ひつこい接客はしない」など、過去に自分がされたよい印象の接客例を書き出し、それを接客方針としてまとめて簡単なマニュアルに。当日の細かな段取りをタイムスケジュールに。売場スペースと想定される作業内容から、シフト人数を割り出していった。

参加メンバーには販売の経験者が数名おり、当日の売場設営、営業の流れ、会計処理等の計画他を力強いリーダーシップでまとめた。

店内ぬいぐるみ

 

当日の盛況

各自の周到な事前の準備が功を奏し、当日朝の2時間程度の準備で売場の設営はできた。プライスカードが足りなかったり、商品陳列がない寂しいスペースが目立ったりと、手直しすべきところは細々とあったが、まずまずのできあがり。

開店してからは予想外にたくさんの来店者があった。3坪の店内は、常時4-5人の来店者と2名の販売スタッフでいっぱい。時には入店待ちの行列ができるようなうれしい状態だった。参加者の家族、友人などの関係者の来店も多かったが、一般のお客様の来店、買上もそれ以上。

大きなトラブルもなく、無事7時間の営業終了。撤去の備品返却の際にはちょっとしたアクシデントがあったが、店頭の設営と営業に関しては大成功と言えるだろう。

気になる売上であるが、なんと12万円超。内訳は客単価が1,000-1,500円程度。買上客数は90人弱である。3坪の売場の7時間だけの営業としては、素晴らしくよい成績。もちろん、家族や友人などの身内の買上が3-4割程度はあるのだが、それを差し引いた、一般のお客様の売上だけで7万円程度という数字も、上々の売上高でどこに出しても恥ずかしくないと言えるだろう。

 

種明かしと参加者の熱意

当日順調に営業できたことと、売上高が12万円(7万円)であるということを聞くと、素人(同然)の人達のはじめての店舗が成功した話しに聞こえ、「雑貨店は安易にでき、売上も難なくつくれそうだ」「素人がこのくらい売上られるんだったら…」などと、雑貨店の企画運営は簡単に感じてしまう人もいるかも知れない。

店内しかし、指導、サポートした側として、今回の活動に関して様々な仕掛けをほどこしている。

まず、商品の調達に関しては、各種の作品展示イベントや問屋街、卸企業の存在を数多くインフォメーションし選択肢を与えていること。仕入の際の注意点、各企業への依頼方法やその際のマナーもあわせて説明している。厳しい法規制(食品衛生法薬事法)があり、トラブルになりやすい分野である「食品」「化粧品」等は一切扱わないことも指示した。

1日だけの営業のため、終了後に売れ残った商品は、大きな負担になるので、「買取」商品は極力少なくし、できるだけ「委託」契約での商品協力をお願いすることなども、冒頭からたびたび助言した。ビジネスとして必要最低限守るべきルールの説明や商品の在庫リスク回避のアドバイスは行っているのだ。潜在的に来街者が多い「下北沢」を選んだことも、ひとつの仕掛けである。

そして、いくら売上高がよかろうと、総勢8名の人間が手間と時間をついやした作業であり、その手間を人件費ととらえて決算すると、そうそう黒字にはならないということもまとめとして話している。

一方、参加者の熱意と感性に大きく感動したのも事実。期間限定のイベントとは言え、はじめての“店舗”開業に大きく夢を膨らましている様子や、効率が悪かろうとも、準備に時間や手間を惜しまない姿勢は初心を思い起こさせてくれる。

参加者が、今まで雑貨店の客側の立場でよいと感じていた様々なこと(接客、販促、ディスプレイなど)を、ためらうことなく、どん欲にこのイベント店に活かしたことが、よい結果に繋がった。

たった1日の営業だが、参加者のこれからのビジネスやキャリアにとって、大変に貴重なものとなったはず。多くはないが、参加者全員に利益の配分ができるそうだ。
※お断り: この文章は実際の事例をもとに一部アレンジしています。

関連のブログ記事「雑貨の学校実習店のお知らせ」

集合写真

コラム:プロよりも売れる!?学生企画の雑貨屋さん、雑貨売場

最近、流通(ショップ)ビジネスを勉強中の学生などが、学習活動の一環としてリアルな店舗(一般客への販売あり)を期間限定で運営することが珍しくない。

イベントやギャラリースペースなどで行うのが一般的だが、有名ショッピングセンター内にて「テナント店」として、短期イベント店を営業するという例もある。

筆者も過去に有名ファッションビル(ルミネ新宿他)での専門学校生の運営店舗の総合指導を行っている。企画、商品調達、販売、プロモーションなど全てが学生の手による雑貨店。2年間みっちりと学習した学生が自らの力を、世に問う一種の「卒業展示」の貴重な機会である。

ショッピングセンター側に深い理解があり、サポートする側(講師など)に臨機応変な指導力があることが前提だが、時にはプロ店舗の成績(売上、収益)を凌駕することもある。

ベテランプロがつい、ないがしろにしてしまう業務を時間を惜しまずに、ひとつひとつ丁寧に行うことや、指導に忠実に企画、計画することが学生最大の“武器”。経験の無さを、熱心な調査や研究、自身の感性で補えるのが「売れる売場」の理由だ。

バンタン実習店舗ルミネ

今年の春、指導した2人の学生による2坪(6.6m2)の売場(ルミネ新宿)。3日間の限定営業で60万超の売上を達成した。

関連のブログ記事「20歳の生徒がルミネ新宿に雑貨のお店を開業」

「月刊パーソナルギフト」10年9月号執筆文を加筆修正 (C)masato tomimoto 

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